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取材レポート

取材レポ001:「株式会社にんべん 大井川事業所」

静岡県焼津市にある「にんべん 大井川事業所」では、全国から届けられた鰹節の選別が行われる。鰹節職人によって作られた「鰹節」に、目利き職人が等級をつけるという作業だ。

実はこの目利き職人、3名しかいない。

にんべんでは、年間約10万本(原料節含む)の「鰹節」を取り扱う。その目利きを全てこの3人が担っているのだ。選別は、天気の良い日にしか出来ないため、1日に見る本数はだいたい約500本。

「カン、カン、カーン」。

熟練の目利き職人は、ひとつずつ丁寧に鰹節の音と手触りで、「鰹節」の質を見極めていく。

音は中の割れや空洞を確かめるため。手触りは脂の乗り具合。

素人には全く違いのわからない音や手触りの違い。

「鰹節は選別が命。いいものがわかれば、名を落とさない」と、目利き職人の塚本さんは言う。

この目利き力が、300年以上続くにんべんの信頼を支えているのだと思った。

2015.7.19

取材レポ002:カネサダ商店

「鰹節」の生産地のひとつである西伊豆の田子。この地で昔ながらの伝統的な手火山式製法
(※)で鰹節づくりを続けている職人山本順也さん(カネサダ商店)を訪ねる。
本ドキュメンタリー映画の主役である。

カネサダ商店が作る「鰹節」は、にんべんの格付けでは、そのほとんどが特選級。

店主の山本順也さんは、長年鰹節作りを続ける職人。毎朝4時起きで鰹節づくりに励む。

水揚げされたカツオの生切りから、煮熟、焙乾、カビ付け、天日干しへ。焙乾から天日干しへの作業は、何度も何度も繰り返され、約半年後に「鰹節」が完成する。

山本さんにとって「鰹節」とは?と訪ねると、「自分の作品であり、子どもだ。」と山本さんは答えた。

これまで何気なく食べていた「鰹節」は、こんなに愛情をもって育てられていたものだと知り、感動した。

2015.8.1

取材レポ003:懐石料理 和ごころ泉

京都で懐石料理店を営む「和ごころ泉」は、ミシュランを取得している和食の名店。
店主の泉さんにとって出汁とは、「全て」だと言う。

「日本食の全ては、出汁をベースに作られている。料理の素材は変わっても、出汁は変わってはいけないのだ」と。

今、鰹節づくりは、深刻な跡継ぎ問題を抱えている。日本食にとって欠かせない「鰹節」を残していくためには、どうすればいいのか。

それは、食事の大切さを改めて、地道に伝えていくことだと泉さんは言う。

現代人は忙しい。しかし、昔の人も同じように忙しかったはず。
限られた時間の中で、食事や手間ひまを大切に考えられるか、である。

日本食の文化を、手間ひまの大切さを残していこうと思う人がどんどん増えていって欲しい。

鰹出汁は1分でひけるのだ。

2015.10.12

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