離乳完了頃の赤ちゃんの歯はどれだけ生えているの?
1歳から1歳6か月頃に離乳は完了し、幼児食へ移行します。最初の奥歯(第一乳臼歯)は、1歳6か月頃に上下で噛み合うようになります(表1)。しかし、この歯は噛む面が小さいために、噛み潰せてもすり潰しはうまくできないので、食べにくい(処理しにくい)食品が多いです(表2)。そこでこの時期の食品は、奥歯の状況に応じて与えることが重要です。
表1 子どもの歯の萌出時期と咀嚼機能
生後 6~8か月頃 | ・乳歯が生え始める |
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1歳頃 |
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1歳過ぎ | ・第一乳臼歯(最初の奥歯)が生え始める |
1歳6か月頃 |
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2歳過ぎ | ・第二乳臼歯が生え始める |
3歳頃 |
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堤ちはる:乳幼児栄養の基本と栄養指導、小児科臨床、62巻12号、2571-2583、2009.より引用.
表2 1~2歳児の食べにくい(処理しにくい)食品例
食品の特徴 | 主な食品 | 調理の留意点 |
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弾力性の強いもの | かまぼこ、こんにゃく、 いか、たこ | この時期には与えない |
皮が口に残るもの | 豆、トマト | 皮をむく |
口中でまとまりにくいもの | ひき肉、ブロッコリー | とろみをつける |
ペラペラしたもの | わかめ、レタス | 加熱して刻む |
唾液を吸うもの | パン、ゆで卵、さつまいも | 水分を加える |
誤嚥しやすいもの | 餅、こんにゃくゼリー | この時期には与えない |
噛み潰せないで、 口にいつまでも残るもの | 薄切り(スライス)肉 しゃぶしゃぶ用の肉は食べやすい | たたいたり切ったりする |
堤ちはる:乳幼児栄養の基本と栄養指導、小児科臨床、62巻12号、2571-2583、2009.を一部改編.
咀嚼力に注目した離乳後の食事
「噛まない」への対応
食べ物を上手に処理できないと、「噛まない」でそのまま口から出したり、口にためて「飲み込まない」、「丸飲み」したりする可能性が高まります。「噛まない」場合には噛まないからといって、歯ごたえのあるものを食べさせて、咀嚼を促そうとするのは固くて食べづらく、噛むことが嫌になり、飲み込んでしまうので逆効果です。指でつぶせるくらいの固さの根菜(大根、人参、かぶ、じゃがいも、さつまいもなど)の煮物などを提供し、咀嚼を促します。
指でつぶして固さの確認をする時は
指でつぶせるくらいの固さというと、親指と人さし指でつぶして固さを確認なさる方が多いかと思います。しかし、この2本の指は、力が入りやすいのでかなり固い物もつぶすことができます。そこで、最初のうちは親指と薬指でつぶして固さを確認することをお勧めします。こちらの2本の指は、親指と人さし指に比べて力が入りにくいのです。咀嚼力の発達に合わせて、親指と薬指で簡単につぶれる固さのものから、少しずつ固さを増していくことが勧められます。
「飲み込まない」への対応
「飲み込まない」に対しては、“その食べ物が嫌い”という意思表示の場合や咀嚼不足で飲み込めない場合に起こりがちです。そこで、何を飲み込めないのかを確認して対策を考えます。離乳食の時期ならば、ひとつ前の段階に戻ってもよいでしょう。
「丸飲み」への対応
「丸飲み」は咀嚼に時間がかからないために早食いを助長し、それが習慣になると食べ過ぎて、肥満になるリスクも発生します。「丸飲み」は食べ物が固すぎる場合や、細かく刻みすぎて噛む必要がない場合に起こりがちです。また、乳児は、口中でばらばらになってしまう物(ひき肉、ブロッコリーなど)をまとめることができずに、丸飲みすることもあります。そこで、例えばひき肉を利用する場合には、「鶏ひき肉の野菜あんかけ」のように、片栗粉でとろみをつけると食べやすくなります。また、軟飯のように口中でまとまりやすいもので、噛むことに慣れていくこともお勧めです。