にんべんとは にんべんの味を支える職人

削り節や液体調味料の原材料向け鰹節は省力化が進み、形を整える手間を省いたり、機械加工したりすることが多くなりました。しかし、昔ながらの一本物の鰹節は、いまでも職人が包丁で捌き、手作業で骨を抜くといった丁寧な仕事で作り続けています。

熟練の技が光る鰹節職人

鰹節作りはカツオを選ぶところから始まります。

鰹節に適しているカツオは、生食向きのカツオとは少し違います。生食用に好まれる脂がのったカツオは、鰹節に仕上げると粉になりやすく、表面に脂肪分が染み出してきて見た目もよくありません。逆に脂が少なすぎても固すぎて削りにくく、うま味に乏しい鰹節になってしまいます。

鰹節作りに最適とされるカツオは、生肉中の脂肪含有率が1〜3%前後のものです。まず、このカツオの選定が上質な鰹節を作るうえでとても重要となります。

こうして選ばれたカツオは合断ち、煮熟(しゃじゅく)、焙乾、カビ付けなどの工程をたどり鰹節になります。そして、各工程において最も大切なのが、職人自身の経験やこれまでに培ってきた技術と勘です。

皮や皮下脂肪、骨、汚れを取り除く作業はすべて職人の手作業で行われます。骨抜きや水抜き、焙乾を経てどうしても避けられなかった損傷部分は損傷の拡大や身割れを防ぐために修繕する必要があります。この細かい作業も職人の手にかかっています。

また、カビ付けと日乾の回数は魚体の大きさと水分の抜け具合によって変わるため、職人が長年の目利きで判断しています。

3人しかいない目利き職人

全国の産地より入荷した鰹節を天日に干し、そこからさらに一本一本選別していくのが目利き職人です。

天日干しをすると鰹節の表面のカビが乾燥してしまうので、そのタイミングで鰹節表面の手入れを行います。手入れの際には、表面に残存する骨などを丁寧に除去していきます。また、鰹節同士を軽く打ち付けることで鰹節内部に空洞がないか、また枯口はどうかなどの判断をすることがあります。

鰹節の原料であるカツオは生き物なので、加工した際には一本たりとも同じ鰹節は存在しません。鰹節製品の優劣の条件として主に以下の項目があります。

  • 香味佳良であること
  • 形状が良好であること
  • 節の表面がきれいであること
  • 乾燥が適度であること
  • 修繕個所がすくないこと
  • 身割れや肌荒れ、虫喰いのないもの
  • カビ色やカビ付き状態のよいもの
  • 皮目の部分が細かく縮んでいること
  • 節を持った際に目方が重く感じるもの

鰹節の質は生産地や製造時期にも左右されるため、どのような鰹節でも選別できる技術と選別眼が必要となります。にんべんの目利き職人は1日500本以上の鰹節を選別をしながら、間違いのない商品を全国の御家庭へお届けしています。